一筆啓上

墨汁一滴

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日がな一日たまを追いかけて

万葉集66-69番 大伴の - しげとし

2018/08/11 (Sat) 00:05:13


  太上(持統)天皇難波ノ宮行幸の時の歌
66:
大伴(おほとも)の高師(たかし)の浜の松が根を枕(ま)きてしぬれど、家し偲ばゆ [置始(おきそめ)ノ東人(あずまびと)]

大伴の郷の高師の浜の景色は、非常にいい。その景色のいい処の松の根を、枕にして寝ているけれども、なお、家のことが思われてならぬ。

67:
旅にしてもの恋(こほ)しきに、家言(いへごと)も聞えざりせば恋ひて死なまし [高安(たかやす)ノ大島(おおしま)]

旅に出ていて、故郷のことが気にかかる時分に、家からのたよりが来た。もしこんな時に、家からの消息さえも聞えて来なかったなら、何の慰めることもなく、ひたすら恋しさに、焦れ死んでしまうことであろう。

68:
大伴の三津(みつ)の浜なる忘れ貝、家なる妹(いも)を忘れておもへや [身人部(みとべ)ノ王(おおきみ)]

大伴の三津の浜辺には、物忘れをするという忘れ貝があるが、家にいる恋しい人を、どうしても思い忘れることがあるものか。

69:
くさまくら旅ゆく君と知らませば、岸の埴原(はにふ)に匂はさましを [住江(すみのえ)ノ処女(おとめ)、長ノ皇子に献った歌]

旅にお出かけになるあなただ、とわかっていましたら、お著物(きもの)を住吉の岸の赤土原の土で摺(す)って、色づけを致して置きましたものを。



 万葉集を読んでいて不思議に思うのは、この時代の人たちは、旅に出かけた時に、何故故郷をこうも懐かしがるかということです。僕たちが旅に出かけるのは、非日常の時間を過ごすためですから、もし歌を作るようなことがあるとすれば、旅先でのことです。
 いくら旅が行幸の御供という仕事であるとしても、やはり、非日常の時間のように思えるのですが?

 さて、8月といえば、原爆が投下された広島と長崎に心が行くのですが、同じ時代を生きる人たちに感じる不思議もあります。

 今年の長崎平和祈念式典には国連事務総長のアントニオ・グテーレスさんが出席して演説を行いましたが、その演説の中にこうありました。

核保有国は、核兵器の近代化に巨額の資金をつぎ込んでいます。2017年には、1兆7000億ドル以上のお金が、武器や軍隊のために使われました。これは冷戦終了後、最高の水準です。世界中の人道援助に必要な金額のおよそ80倍にあたります。

States in possession of nuclear weapons are spending vast sums to modernize their arsenals. More than $1.7 trillion dollars was spent in 2017 on arms and armies – the highest level since the end of the Cold War. That is around 80 times the amount needed for global humanitarian aid.

 僕たちは、世界中の人道援助に必要な金額のおよそ80倍ものお金を軍事費に使っているのです。
 遠くない日に、この時代の人たちは何と馬鹿げたことをしていたのかと不思議に思うようにしなければならないと考えるのは、一人だけでしょうか?

 安倍晋三首相は何の躊躇することもなく、我が国の安全保障のための「米国の核の傘」と言いますが、これは憲法第9条の2項がいう「その他の戦力」にあたります。僕たちは、文章の意味を読み取ることさえできない者を首相にしてしまいました。

 そのような国民だからでしょう、首相が幾度となく、「国民がよく分かるように説明する」と言いながら、何の説明をしなくても、政権の座に居続けることができています。

 防衛予算の来年度概算要求が、過去最大の約5兆4千億円に上る見通しになったと報道されていますが、これを聞いても、もう、驚いたり、怒りを覚えたりする人は少なくなってしまったのでしょうか?


 異常な事もそれを常に聞かされていると、それが普通の事として感じるようになってしまいます。僕たちは、それに慣らされてしまってはなりません。

 『ヨハネ第20章1-10』への返信にあったように、季節は8月です。僕たちの国が何処へ向かって進もうとしているのかを考えるのによい時です。
 「戦争をする国」に向かっているのであれば、それは、「命を大切にしない国」に向かっていると考えて間違いありません。


墨汁一滴201808TA 口訳万葉集66-69番 大伴の

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