一筆啓上

墨汁一滴

207765
日がな一日たまを追いかけて
名前
件名
メッセージ
画像
メールアドレス
URL
文字色
編集/削除キー (半角英数字のみで4~8文字)
プレビューする (投稿前に、内容をプレビューして確認できます)

七人の言葉 - 陽子

2024/02/22 (Thu) 01:16:25

「老子」
天下、皆(みな)美の美為(た)るを知る、斯(こ)れ悪(あく)なる已(のみ)。皆善の善為(た)るを知る、斯(こ)れ不善なる已(のみ)。

世の中の人々は、みな美しいものは美しいと思っているが、じつはそれは醜(みにく)いものにほかならない。みな善いものは善いと思っているが、じつはそれは善くないものにほかならない。

「イマヌエル・カント」
In the strict sense of the world, democracy inevitably results in despotism.
Because in the executive power of democracy, a single disagreement is powerless against the consent of the entire majority.
And consequently, all, who are actually not all, will make the decisions.

厳密にいうと民主制は必然的に専制になる。
というのは、民主制の行政権のもとでは、
一人(同意しない者)がいても全員の賛同とひとしく、
その結果として、全員ではない全員が決めていくことになる。

「T・S・エリオット」
Time present and time past
Are both perhaps present in time future,
And time future contained in time past.

現在の時間と過去の時間は
おそらく共に未来の時間の中に現存し
未来の時間はまた過去の時間に含まれる。

「伊丹万作」
だまされたということは、不正者による被害を意味するが、しかしだまされたものは正しいとは、古来いかなる辞書にも決して書いてはないのである。だまされたとさえいえば、一切の責任から解放され、無条件で正義派になれるように勘ちがいしている人は、もう一度よく顔を洗い直さなければならぬ。

「黒澤明」
自分の大切な人が殺されそうになったら反撃しないのかって、よく反論されるんだ。そういうことじゃないんだ。戦争というものが始まってしまうと、虫も殺せなかった人間が人を殺し、心優しい人間も身内を守るために鬼の形相になる。戦渦の中では自分が生きていくことだけで精一杯、人間が人間でなくなるから怖い。だから、戦争を始めてはいけないんだ。

「中井久夫」
 戦争の論理は単純明快である。人間の奥深い生命感覚に訴える。誇りであり、万能感であり、覚悟である。戦争は躁的祝祭的な高揚感をもたらす。戦時下で人々は(表面的には)道徳的になり、社会は改善されたかにみえる。戦争が要求する苦痛、欠乏、不平等すら倫理性を帯びる。
 これに対して、平和とは、自己中心、弛緩、空虚、目的喪失、私利私欲むきだし、犯罪と不道徳の横行する時代である。平和の時代は戦争に比べて大事件に乏しく、人生に個人の生命を超えた(みせかけの)意義づけも、「生き甲斐」も与えない。平和は退屈である。

「ドワイド・D・アイゼンハワー」
In the councils of government, we must guard against the acquisition of unwarranted influence, whether sought or unsought, by the military-industrial complex. The potential for the disastrous rise of misplaced power exists and will persist.
We must never let the weight of this combination endanger our liberties or democratic processes. We should take nothing for granted. Only an alert and knowledgeable citizenry can compel the proper meshing of the huge industrial and military machinery of defense with our peaceful methods and goals, so that security and liberty may prosper together.

我々は,政府の委員会等において,それが意図されたものであろうとなかろうと,軍産複合体による不当な影響力の獲得を排除しなければなりません.誤って与えられた権力の出現がもたらすかも知れない悲劇の可能性は存在し,また存在し続けるでしょう.
この軍産複合体の影響力が,我々の自由や民主主義的プロセスを決して危険にさらすことのないようにせねばなりません.何ごとも確かなものは一つもありません.警戒心を持ち見識ある市民のみが,巨大な軍産マシーンを平和的な手段と目的に適合するように強いることができるのです.その結果として安全と自由とが共に維持され発展して行くでしょう.


 「プーチン悪玉、ゼレンスキー善玉」で始まった「ウクライナ戦争」は止まるところを知らず、昨年の10月7日にイスラム組織ハマスがイスラエル南部を襲撃して始まった「イスラエル・ガザ戦争」も停戦に向かうのか中東に拡大していくのか分からない状況だわね。

 これらについては日々報道されるけれど、その時、頭の片隅に置いておきたい言葉として、この掲示板に引用されていた言葉の中から、老子、イマヌエル・カント、T・S・エリオット、伊丹万作、黒澤明、中井久夫、ドワイド・D・アイゼンハワーの7人の言葉を写しておきました。

 最後に置いたアイゼンハワーの言葉は、大統領辞任演説の中の「軍産複合体」に対する警告の部分だけれど、今では、「軍産政官学複合体」と言われるほどもっと大きな力を持つに至っている。

 私たちは物事を見聞きする時には、これまでの自分の経験をもとに判断しているわね。そうであれば、程度の差こそあれ私たちが日々接するマスコミの報道もこの「軍産政官学複合体」の影響下にあると考えておかなければならないと思う。


墨汁一滴202402TA 七人の言葉

Re: 七人の言葉 - ひろおか

2024/02/25 (Sun) 11:50:04


 そうねー、伊丹万作の言葉にあるように、「もう一度よく顔を洗い直さなければならぬ」ようにならないでいたいと思う。

 「イスラエル・ガザ戦争」では、ホロコーストをあれ程反省したドイツが何故イスラエルを擁護してパレスチナの人々に対しては考えが及ばないことを不思議に思っていたのだが、どうやら、ホロコーストを「唯一絶対悪」として、ユダヤ人の保護を「国是」にまでしたことが、植民地や他の人々に対して行われた類似のことに対して考えを及ばなくさせてしまっているらしいというところまでは辿りついた。

 しかし、やはり、もう一度よく顔を洗い直さなければならなかた。イスラエルがパレスチナで行っていることは、僕たちの国も歴史に持つ。
 「満蒙開拓団」のことは知っていたが、「イスラエル・ガザ戦争」から直ぐには思い浮かばなかった。満洲事変以降行われた「満蒙開拓移民」政策は、イスラエルがパレスチナで行っていることと同じといえる。

 米国も自国の歴史を忘れてしまっている政治家が多いのかもしれない。イスラエルは、パレスチナの人々を追い出そうとしているが、同じようにして建国したのが米国だ。

 バイデン米大統領が2月21日にサンフランシスコで開いた選挙資金集めのイベントで、ロシアのプーチン大統領を「狂った野郎(crazy SOB)」と呼んだのに対して、プーチン大統領が「(バイデン氏は)ハリウッドのカウボーイのように見せようとしたのだろう。しかし率直に言って成功していないと思う」と答えていた。
 どうやら、プーチン大統領の方がバイデン大統領より歴史認識が高いようだ。

 24日は、夜になって新聞の朝刊開いたが、ウクライナ記事の満載に驚いた。ロシアがウクライナに侵攻を開始してから2年経つ。
 その2年に合わせて23日に国連総会が開かれ、米欧各国はロシアの侵略を非難したが、ウクライナが非難決議案の提出を見送ったため対露非難決議は採択されなかったことも報じていた。ウクライナは、昨年のように多くの支持を得られないと判断したようだ。

 ウクライナ記事満載の新聞とウクライナの対露非難決議提出見送りのギャップは何だろうか?
 陽子さんが最後においた「軍産政官学複合体」の欧米や日本のマスコミに対する影響力の大きさを感じた。この影響力は間違いなく僕たちの国の政治の場にも及んでいるはずだ。


余滴202402TA Re:七人の言葉

謹賀新年 - しげとし

2024/01/01 (Mon) 08:54:20

新年おめでとうございます。

明日(あす)よりは春菜(はるな)摘(つ)まむと標(し)めし野に昨日(きのふ)も今日(けふ)も雪は降りつつ

万葉集巻八 (一四二七)


 1月は寒くて春菜にはまだ早いけれど、旧暦は約1カ月程ずれがあるから、新暦の2月頃。1年の最初に芽吹いた春菜は生命力の象徴だね。その春菜を摘んで食べて、生命力を体内に取り込む。

 そのような生命を奪う権利など誰にも無いはずだが、「防衛権利」と称して戦争を続け、また、「国際人道法に従った上での防衛権利がある」と支持する国がある。

 「人道的戦争」とは一体どのようなものなのだろう?


墨汁一滴202401TA 謹賀新年

謹賀新年 - ひろおか

2024/01/01 (Mon) 07:45:10

 昨年は「戦争の年」でしたが如何お過ごしですか?

 思い出すのは、ベトナム戦争の時に歌われていた『花はどこへ行った(Where have all the flowers gone)』です。
 歌詞は1番から5番まであり、5番の後1番に戻り歌われ、各歌詞では次のフレーズが繰り返されていました。
Oh, when will they ever learn?
Oh, when will they ever learn?

 「力こそ正義(Might makes right)」と言わんばかりの時代が続いています。今、私たちが学ばなければならないのは、物事を「力(武力)」で解決することはできないということでしょう。そしてそれが、世界の大きな声になることが必要です。
       その日が一日も早く来ることを願って。
                 2024年 元旦

「風信13:海洋放出|問わなければならないものは?」への返信2 - しげとし

2023/09/21 (Thu) 08:22:32


 福島原子力発電所が事故を起こしたのは2011年3月11日のことだが、この事故を切っ掛けに「脱原発」へと進むかと思われたが、原発依存へと回帰していった。その原因は、政府が「日本は原発を放棄するな」という第3次アーミテージ・ナイ報告書(2012年)に従っているからだろう。

 それに先立つ2020年に、米国のエネルギー省は、「防衛のみの観点では、米国の国家安全保障上の利益を守るために十分な需要を喚起する規模の経済が得られない」として核体制を維持するために、原子力を維持することが必要だとする文書を発表している。これは、取りも直さず、原子力の平和利用と核兵器は車の両輪だということだ。

 これを今起きている「ウクライナ戦争」や「台湾有事」を例に考えると、米国軍の覇権を維持するには、十分な需要を喚起する絶え間ない紛争や戦争が必要だということだろう。
 アーミテージ・ナイ報告書に忠実に従う政府を持つ僕たちの国は、「戦争をしない国」から「戦争ができる国」へと変質し、今は、「戦争を準備する国」に変わりつつある。
 このまま突き進めば、米国が広島・長崎に原爆を投下したのと同じ理由で、日本は、米国が起こす戦争に駆り出されることになる。


余滴202309TA 「風信13:海洋放出|問わなければならないものは?」への返信2

Re: 「風信13:海洋放出|問わなければならないものは?」への返信2 - ひろおか

2023/09/24 (Sun) 06:19:17


 陽子さんの指摘通り、主権を国民の手に取り戻すことができるのは、その国の国民しかいないと思う。

 2023年8月に、南アフリカが議長国になりヨハネスブルクで第15回BRICS首脳会議が開かれているが、習近平国家主席はスピーチでBRICSの役割について、「国際的な風景を形作る重要な力」、「独立した外交政策の提唱者で実践者」、「外圧に屈せず他国の属国ではない」ことを強調していた。

 習近平国家主席が強調したこの3点は、ニューヨークでの国連総会に合わせ行われた気候変動会議で岸田文雄首相が発言の機会を与えられなかった、「信頼に足る野心的な行動、計画、そして政策を持つ人のみ発言者として招待した」という理由とよく似てはいないだろうか。

 米国が言うがままに従っていたのでは、日本の経済は立ち行かないし、二者択一を望まないグローバルサウス諸国の信頼を得ることもできないと思う。


余滴202309TA Re:「風信13:海洋放出|問わなければならないものは?」への返信2

Re: 「風信13:海洋放出|問わなければならないものは?」への返信2 - 陽子

2023/09/22 (Fri) 06:36:39


 「一服の清涼剤」だと、溜飲が下がる気持ちは分からなくはない。しかし、その「清涼感」は国連のスタッフの判断力によるものであって、私たち国民の判断力によるものではないのだから、その「清涼剤」が私たちの国の政治を変えてくれるわけではないわね。

 言葉が信頼できなければ民主主義など成り立たない。安倍晋三政権以来今に続く政権は、政治の場における言葉の信頼を崩し続けて来た。それにも関わらず、国民はそのような者たちを議員として国会に送り続けている。いつになれば、気付くのでしょう?

 今の私たちの国の政府は、日本政府というよりは、米国の出先機関と言った方が近いのかもしれない。
 岸田文雄首相は、NATOから一等国のお墨付きを貰って有頂天なのでしょうが、そうであれば、日本の首相の演説をわざわざ聞く必要などないわね。

 沖縄が日・米軍の合同軍事基地化している。米国産の兵器を使うのだから、指揮権は米国にあるに等しい。
 政府は、長らく、「アーミテイジ・ナイ報告」や「日米合同委員会」の決定を忠実に実行しようとしている間に、地方自治の概念など忘れてしまったのでしょう。
 この責任は、「日米地位協定」の改正すらしない政府を支持し続けている「ヤマトンチュ」にあると思う。

 私たちの国が、米国が起こす戦争に駆り出されることになる前に、主権を国民の手に取り戻さなければならない。
 今は、次世代の人たちの命が懸かっている時であると思う。


余滴202309TA Re:「風信13:海洋放出|問わなければならないものは?」への返信2

Re: 「風信13:海洋放出|問わなければならないものは?」への返信2 - ひろおか

2023/09/21 (Thu) 11:15:02

 岸田文雄首相の国連総会での一般討論演説の全文があったので、「どの口がそれを言うのか」という思いで読んだが、国連には「聞く力を」持つスタッフがいるようで、「信頼に足る野心的な行動、計画、そして政策を持つ人のみ発言者として招待した」ということで、国連の気候変動に関するイベントに出席しようとしたところ、発言の機会が与えられず欠席したようだ。

 一服の清涼剤だ。


余滴202309TA Re:「風信13:海洋放出|問わなければならないものは?」への返信2

「風信13:海洋放出|問わなければならないものは?」への返信 - 陽子

2023/09/20 (Wed) 11:59:38

 「トリチュウム濃度、検出限界値未満」と毎日のようにマスコミが報道している。政府が発表すれば、マスコミは報道せざるを得ないのでしょうが、ALPS処理水の海洋放出は、船が座礁して燃料油が流出している事故とは本質的に異なる。「処理水」を放出したからといって、直ちに目に見える形で被害が起きるわけではない。
 同じ報道を何度も繰り返して、国民の関心が薄れ、忘れ去るのを待っているのでしょう。

 中国当局が、日本から入港した貨物船が船体を安定させる目的で積む「バラスト水」と呼ばれる海水を独自に調査していることについて、松野博一官房長官は、「中国側に対して、科学的根拠に基づいた対応を引き続き強く求めていく」と言っている。
 しかし、IAEの監視体制が不十分であると考える中国が、「バラスト水」を独自に調査することは、「科学的」対応と言えよう。

 一方、中国の日本産水産物の前面輸入禁止の措置は政治的なものと言えよう。中華人民共和国海関総署の2023年公告103号によれば、日本を原産地とする水産物の全面的な輸入禁止は、「暫停(暫時停止)」という言葉で表現されている。あくまでも「一時的」な輸入禁止である。
 日本の優秀な官僚であれば、この「暫停(暫時停止)」という言葉を見逃していないはずだ。輸入禁止の措置は交渉で解決できる可能性がある。
 しかし、政府が米国の対中包囲網に追随している限り、交渉はできない。
 岸田文雄首相は、自らの失政を「風評被害」という言葉で責任を中国に擦り付け、その対策に莫大な費用を発生させた。国民が納める税金であれば、自らの懐が痛むことはない。
 それだけではない。東アジアや太平洋島嶼の国々の信頼を失った。G7やNATOの「力」を配慮して、「処理水の海洋放出」に反対を表明しなかった国もあったはずだ。日本の将来に大きな禍根を残す。

・1954年:「可能な最低限のレベルに」(to the lowest possible level)
・1956年:「実行できるだけ低く」(as low as practicable)
・1965年:「容易に達成できるだけ低く」(as low as readily achievable)
・1973年:「合理的に達成できるだけ低く」(as low as reasonably Achievable)

 上記は、IAEAの基準が大きく影響を受けているICRP(国際放射線防護委員会)勧告にある被曝低減の原則。注意深く読めば、1954年から1956年の勧告の間に、放射線防御の考え方が大きく変わっているのが分かる。

 ICRPは、1928年に創設されたIXRPC(国際放射線防護委員会)を引き継ぐ形で1950年に再構築された組織だが、再構築された際に放射線医学、放射線遺伝学の専門家以外に原子力関係の専門家も委員に加わるようになり、学術的な判断にもとづいて防護基準を勧告する組織から、社会的・経済的な要因を重視しながら防護基準を勧告する組織に変わっていった。

 『風信13』に、≪IAEAは、「福島第一原子力発電所に貯蔵された処理水を海洋に放出する日本の計画はIAEAの安全基準と一致している」と言うが、では何故、日本を含む世界各地の正常に運転されている原子力発電所や核処理施設周辺地域で健康被害が発生しているのだろうか?≫とあったが、その原因は、放射線防御の考え方の変質にある。社会的・経済的な利益のためには、少々の被害(?)は受忍せよということなのでしょう。

 G7広島サミットは、「核抑止論」を正当化したが、その根底には、ICRPの変質と同じものがある。
 英国と米国はウクライナにクラスター爆弾を供与しているが、IAEAのラファエル・マリアーノ・グロッシー事務局長は、米国の劣化ウラン弾のウクライナ供与に関して、2023年9月13日の記者会見で、「放射線影響による重大な健康リスクはない」と言っている。
 「米国流民主主義」を広めるためには、「少々の被害」は受忍せよということなのでしょう。

 米国は何故、広島・長崎に原爆を投下したのか? 福島第一原子力発電所に貯蔵された処理水の海洋放出は、多くの事を問うている
 ≪日本産水産物の国内消費拡大が「国民運動」にされようとしている≫とあったが、愛国心を煽られて根底にある問題を見逃してしまうようなことがあってはならないと思う。


余滴202309TA 「風信13:海洋放出|問わなければならないものは?」への返信


Copyright © 1999- FC2, inc All Rights Reserved.